医療法人「徳洲会」グループから5千万円を受け取った問題で猪瀬東京都知事の釈明が二転三転している。ひとつの小さな嘘を隠そうとするとさらに嘘をつかなければならなくなり、たくさんの嘘の間でつじつまが合わなくなってしまう。最初から嘘をつかなければいいのだが、嘘をついてしまったら、まずは素直に認めることだ。今日は、米国で特許を取得する手続の中で、嘘をついたらどうなるか、そしてその嘘を取り消してもらうにはどうすればよいか、アメリカの訴訟事件から学んでみよう。年の瀬である。今年一年自分のついた嘘を振り返り、嘘を取り消したいと悩んでおられるのは都知事だけではなかろう。人は嘘をつく動物なのだから。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: 米国実務
ibooksはインターネット電子書籍サービスの記述的商標でしかない
Apple Inc.の商標iBooksの使用はJ. T. Colby & Company, Inc.らが使用する未登録商標「ibooks」に抵触するとしてApple Inc.が訴えられた商標権侵害事件は、米国ニューヨーク州南部連邦地裁の2013年5月8日の略式判決によりColby側が敗訴しています(J.T. Colby & Company, Inc. et al v. Apple, Inc.(S.D.N.Y. May 8, 2013))。しかし、これは電子書籍サービスにibooksという表記ができなくなることを意味しません。
代理人のミスに寛容な米国特許商標庁ー合衆国の建国の精神に立ち返って考える
特許や商標などの知的財産権を取得する手続きにおける代理人(出願人に代わって特許庁に対する手続きを行う弁理士や弁護士など)のミスは、知的財産権を取得できないという致命的な結果を招くことがある。しかしアメリカという国は懐が深い。日本では考えられないような代理人の致命的なミスがあっても、出願人の権利を維持し、回復しようとする救済処置が充実している。これはアメリカ合衆国の建国の精神に立ち返って理解するとよい。 続きを読む
prima facie obviousnessとは
英米法(コモンロー)において、”prima facie”とは、反駁されないならば事実を証明するのに十分である一応の証拠のことです(参考wikipedia: Prima facie)。訴訟において、原告はまずprima facie (一応の証拠)を提示しなければなりません(「一応の疎明」をするとも言われます)。原告が”prima facie”を提示できない場合、被告の反論を待たずに、裁判所は訴えを棄却します。”prima facie”であることは訴えが裁判所で審理されるための前提となります。この考え方は米国の特許出願の審査にも適用されています。 続きを読む
国境をまたいだ訴訟における代理人の秘匿特権
日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士/弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題は解決したと思っている人が多いですが、そ の理解はかなり怪しいので気をつけなければなりません。 続きを読む
ディスカバリーにおけるカットオフデート
米国民事訴訟におけるディスカバリー(証拠開示手続)では、カットオフデート(cut-off date)というディスカバリーの終期があり、この期限までにディスカバリーを終了させなければならないことが連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)に定められています。 続きを読む
After Final Consideration Pilot Program (AFCP) 2.0
米国特許商標庁(USPTO)が2013年5月19日からAfter Final Consideration Pilot Program (AFCP) 2.0を試行運用しています。米国特許出願にファイナルアクションが出た後、RCE (Request for Continued Examination)を請求する前に、AFCP 2.0の申請を検討することをお勧めします。 続きを読む
米国特許出願の早期審査と優先審査、PPH-メリットとデメリット
米国特許出願の早期審査、優先審査、PPHについて相違点、メリット、デメリットをまとめました。また各制度の審査期間の統計情報を追加しました。「より迅速により確実に権利化するには?」を追加しました。
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USPTOのPPH2.0
USPTOは2012/1/29から当初1年間の予定でPPH(Patent Prosecution Highway)2.0プログラムを試行開始していましたが、USPTOはこのPPH2.0プログラムを無期限で延長するとしています(2013/4/8現在)。PPH2.0プログラムにより必要書類は大幅に削減され、日本の許可請求項の写しおよびその翻訳、また、OA翻訳について英訳が正確である旨のステートメントの提出は不要となります。 続きを読む
故意侵害の責任を免れるために鑑定書は複数必要か?
米国特許侵害訴訟において故意侵害が認定されると、懲罰的賠償請求により損害賠償額が最大3倍にまで膨らむことがある。故意侵害の認定を避けるために、米国弁護士から非侵害の鑑定書を複数得ておくべきであるというアドバイスをよく聞く。予算に限りがある場合、鑑定書は本当に複数必要なのか? 続きを読む