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企業買収の交渉における当事者の情報開示義務および企業買収契約における表明保証条項の意義と機能

[1]企業買収の交渉における当事者の情報開示義務について

(1)原則

企業買収も私人間の取引の一つであることから私的自治の原則に委ねることが相当であり、買収契約を締結する際の情報収集は、契約当事者の責任において行うべきものであるから、基本的には、相手方当事者に情報提供義務を負わせることはできないと解するのが妥当である。企業買収契約においては、相互に対等な当事者が契約を締結するのが通常であり、事業者と消費者のように情報を収集する能力に格差が存在する場合における契約交渉とは性質が異なり、双方の当事者はデューデリジェンスにより、相手方の情報を収集する能力を対応に持っているからである。したがって、売主は会社の資産状況などにつき虚偽の事実を告げてはならないという消極的意味での義務を負うことはあっても、積極的に資産状況などについて情報を開示しなければならないという義務は負っていないと解される。 続きを読む