「あらゆる一般化は間違っている。これも含めて」とは、『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェインの名言である。「男は信用ならぬものだ」などと安易な一般化で人間や物事を理解したつもりになることを戒めたものであろう。「あらゆる一般化は間違っている」と一般化すること自体も、間違いであると自戒を込めたのはウィットに富んでいる。今日は、マーク・トウェインに敬意を払い、特許請求の範囲(特許の保護を求める範囲)の「一般化」の話をしよう。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: 欧州実務
国境をまたいだ訴訟における代理人の秘匿特権
日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士/弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題は解決したと思っている人が多いですが、そ の理解はかなり怪しいので気をつけなければなりません。 続きを読む
欧州特許庁のPCT国際段階成果物を利用した特許審査ハイウェイ
PCT国際段階成果物を利用した日欧間の特許審査ハイウェイ(PCT-PPH)試行プログラム(当該試行プログラムは2014年1月28日に終了)にもとづき、下記(a)-(c)のいずれかの国際段階における成果物のうち、最新に発行されたものを利用して、PCT出願を日本出願に移行するときに特許審査ハイウェイを利用することができます。 続きを読む
Apple対SamsungのiPad共同体意匠権侵害訴訟ードイツとオランダ
2011年8月6日Apple Inc.(米国) は、Samsung Germany(ドイツ)とSamsung(韓国)がApple社の共同体意匠権181607-0001(iPadの意匠権)を侵害したとして、ドイツのデュッセルドルフ地裁に仮差止請求を求めた。本訴訟では共同体意匠裁判所としての国際管轄権の範囲がドイツ国内に限られるか、EU全域に及ぶかが大きな問題となった。共同体意匠権はEU全体で一つの意匠権であるが、被告の一部にEU域外の会社(本訴訟ではサムスン(親会社)はEU域外)である場合、ドイツ地裁の判決の効力がEU全体に及ぶとは限らない。 続きを読む
明細書翻訳時の分離不定詞について
ちょっと英語の勉強ですが、to不定詞の否定形は、「not to不定詞+動詞の原形」であると、我々は学校で習っていると思いますが、最近は、「分離不定詞」の表現の延長で「to不定詞 not 動詞の原形」という表現も使われます。 続きを読む
EPOの特許審査実務の注意点
欧州弁理士資格をもつ日本の弁理士(ドイツの事務所在籍)にEPOの審査実務について話を聞く機会がありました。実務に役に立つポイントを一部私自身の解説も含めて列挙します。 続きを読む
EPC2000の改正ポイントと推奨される実務
2000年11月に改正された欧州特許条約(EPC)(いわゆるEPC2000)が7年の歳月を経てようやく2007年12月13日発効されました。EPCが制定された後、初めての大規模な改正であり、法律(Article)は条文番号こそ変わりませんが、大部分が修正されており、将来の改正にも柔軟に対応できるように規則(Rule)に一部の内容が移され、規則番号も変更されています。しかし、実務に実質的な影響がある項目はそれほど多くありません。 続きを読む