特許権や商標権の侵害で差止請求を認容する判決が出た場合、その判決を強制履行する手続に移る。裁判所で差止請求が認容されたからといって、被告が直ちに債務履行するとは限らないので、強制執行が必要になる。強制履行の手段として、直接強制、代替執行、間接強制の3通りがある。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: 米国実務
米国特許法改革ー先願主義に移行するまでの長い道のり
2011年9月16日に成立した「米国発明法」(America Invents Act)により、米国は先発明主義から先願主義に移行する(先願主義の施行は2013年3月16日)。しかし、先願主義への道のりは平坦ではなかった。アメリカはシリコンバレーに見るように、なんといってもアントレプレナーの国である。イノベーションを担っているのは、大学や、個人発明家、ベンチャー企業であり、彼らはこぞって先願主義に反対したからである。先発明主義に至るまでのアメリカ社会の長い道のりを辿る。 続きを読む
もしソニーがiPhoneを作ったとしたら…
米国民事訴訟のディスカバリー(証拠開示手続)
裁判では証拠収集が勝敗を決める鍵である。日本では十分な証拠収集をしてから訴訟を提起するかどうかを考えるが、米国の民事訴訟では「ディスカバリー」と呼ばれる非常に強力な証拠収集手段が設けられており、訴訟提起してから証拠収集を始める。原告、被告双方の主張立証に必要な証拠をできるだけ裁判所に提出して公平な裁判を行おうという、英米法的な衡平の理念が根底にある。 続きを読む
Apple vs Samsung 特許侵害訴訟ーカリフォルニア州連邦地裁陪審評決
サムスンのスマホ製品およびタブレット製品は、アップルのiPhoneやiPadのデザインを「猿まね」(slavishly copy)したものだと舌戦が繰り広げられた米国特許侵害訴訟。アップルとサムスンがしのぎを削った注目の特許侵害事件は、カリフォルニア州連邦地裁陪審評決によって約10億5千万ドル(約825億円)の損害賠償額が認定された。 続きを読む
Facebook, Inc.のYahooに対する特許訴訟戦略
かつてYahooは、ソーシャルネットワーキングとオンライン広告に関するYahooの10件の特許権をFacebook, Inc.が侵害しているとして提訴したことがありました(2012年3月12日)。Facebook, Inc.は折しも、同年5月にIPO(株式公開)を控えていて訴訟を避けたい時期だった。このときYahooは3000以上の特許を保有していたが、Facebook, Inc.は56件の特許と503件の特許出願があった(2011年12月31日時点)に過ぎず、大人と子どもの相撲のように知財力の差は歴然としていた。このときFacebook, Inc.が取った訴訟戦略は賢かった。 続きを読む
米国発明法の先公表先願主義
2011年9月16日に米国特許法が改正された(ブログ記事「米国発明法の署名式ーオバマ大統領はペンを何回交換したか?」参照)。「米国発明法」(America Invents Act)(以下「AIA」と略す)により、米国は先発明主義から先願主義に移行した。だが、AIAの先願主義は、通常の先願主義とは違い、先公表先願主義(first to disclose first to file system)とでもいうものになっている。 続きを読む
米国発明法の署名式ーオバマ大統領はペンを何回交換したか?
「名誉毀損ツーリズム」が行われているのをご存じですか
いかの干したものは「するめ」であって「いか」と呼んではならぬか
請求項において「前記」(英語でsaidまたはthe)をつけると、前出の構成を指しますが、前出の構成とは同一性が損なわれている場合、theをつけるべきかどうか悩むことがあります。たとえば、 続きを読む