カルピス株式会社の商標「ほっとレモン」の商標登録の取消決定を維持する判決が知財高裁から出されました(平成24年(行ケ)10352号(知財高裁平成25年08月28日判決))。カルピス社は商標「ほっとレモン」が「人をほっとさせるレモン飲料」というイメージとともに多くの需要者に周知されてきていると主張しましたが、裁判所は、商標「ほっとレモン」は、「温かいレモン飲料」であることを普通に表示する標章のみからなる商標に過ぎず、「ほっと」の文字部分が長く使用された結果、商品の出所識別機能を有するに至ったものではないとしました。 続きを読む
代理人のミスに寛容な米国特許商標庁ー合衆国の建国の精神に立ち返って考える
特許や商標などの知的財産権を取得する手続きにおける代理人(出願人に代わって特許庁に対する手続きを行う弁理士や弁護士など)のミスは、知的財産権を取得できないという致命的な結果を招くことがある。しかしアメリカという国は懐が深い。日本では考えられないような代理人の致命的なミスがあっても、出願人の権利を維持し、回復しようとする救済処置が充実している。これはアメリカ合衆国の建国の精神に立ち返って理解するとよい。 続きを読む
麻生副総理のナチス発言の再検証ーマスコミの国際発信力の欠如の問題ではないか
麻生副総理兼財務相のナチス発言は、「ナチスの手口に学び、国民が気がつかないうちに憲法改正を企てる」との趣旨に取られて内外の批判にさらされた。私も最初、朝日新聞の発言内容の書き起こしを読んだときは、そのような意味にしか解せなかった。しかし、録音を聞いた上で発言内容を検証してみると、そのような趣旨の発言ではなかったらしいことが見えてくる。そして海外メディアの論調に迎合するだけの日本のマスコミに深い失望を感じる。 続きを読む
土屋アンナさん主演の舞台「誓い奇跡のシンガー」を巡る騒動
土屋アンナさんが主演予定であった舞台「誓い奇跡のシンガー」が昨日突然公演中止となったことで話題になっています。この舞台作品は、身体障害と言語障害を抱える女性歌手・濱田朝美さんの「日本一ヘタな歌手」(光文社)という小説が原案となっているそうです。公演主催者側は、主役の土屋アンナさんが「公的にも私的にも何らの正当な理由なく無断で舞台稽古に参加せず(中略)専らそのことが原因で同公演を開催することができなくなりました」と公式サイトで発表し、「土屋アンナ氏に社会人としての責任をお取りいただくべく,損害賠償訴訟を含む断固たる措置を講じる所存です」としており、穏やかでない事態に進展しています。原作者の濱田朝美さんのブログによれば、土屋アンナさんが舞台稽古への参加を拒否した背景には原作者の著作権の許諾に絡む事情があったようです。
prima facie obviousnessとは
英米法(コモンロー)において、”prima facie”とは、反駁されないならば事実を証明するのに十分である一応の証拠のことです(参考wikipedia: Prima facie)。訴訟において、原告はまずprima facie (一応の証拠)を提示しなければなりません(「一応の疎明」をするとも言われます)。原告が”prima facie”を提示できない場合、被告の反論を待たずに、裁判所は訴えを棄却します。”prima facie”であることは訴えが裁判所で審理されるための前提となります。この考え方は米国の特許出願の審査にも適用されています。 続きを読む
国境をまたいだ訴訟における代理人の秘匿特権
日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士/弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題は解決したと思っている人が多いですが、そ の理解はかなり怪しいので気をつけなければなりません。 続きを読む
ディスカバリーにおけるカットオフデート
米国民事訴訟におけるディスカバリー(証拠開示手続)では、カットオフデート(cut-off date)というディスカバリーの終期があり、この期限までにディスカバリーを終了させなければならないことが連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)に定められています。 続きを読む
美味しいカルボナーラの作り方は特許になりますか?
After Final Consideration Pilot Program (AFCP) 2.0
米国特許商標庁(USPTO)が2013年5月19日からAfter Final Consideration Pilot Program (AFCP) 2.0を試行運用しています。米国特許出願にファイナルアクションが出た後、RCE (Request for Continued Examination)を請求する前に、AFCP 2.0の申請を検討することをお勧めします。 続きを読む
米国特許出願の早期審査と優先審査、PPH-メリットとデメリット
米国特許出願の早期審査、優先審査、PPHについて相違点、メリット、デメリットをまとめました。また各制度の審査期間の統計情報を追加しました。「より迅速により確実に権利化するには?」を追加しました。
続きを読む