まとめると、最後の拒絶理由通知、拒絶査定不服審判請求時の請求項の補正において、増項補正が認められるのは、以下の場合ということになると思います。
(1)<形式的に>請求項の数が増えたに過ぎない場合(∵「一対一又はこれに準ずるような対応関係」の「これに準ずるような対応関係」に該当する)
(i)補正前の多数項引用形式の請求項を補正によって独立形式とした場合(マルチをばらした場合)
(ii)補正前の請求項に択一的に記載された構成要件を限定して複数の請求項とした場合(いわゆるマーカッシュ形式をばらした場合)
(2)審査官の補正の示唆にしたがう場合(∵特許要件の審査も終わっており、審査の迅速化の観点から最後の拒絶理由通知の際の補正に制限を設けた趣旨に反するものではない)
(3)審査官と出願人との間で当該補正につき、合意が形成されている場合(∵(2)の理由と同じ)
(1)は、限定的減縮に該当しますが、(2)と(3)は、厳密には限定的減縮に該当しないが、運用で容認する(補正却下しない)というものです(この補正要件違反は無効理由ではないですから)。
(2)、(3)は、厳密には限定的減縮減縮ではないことに留意してください。審判で「これも限定的減縮だ」と言ったら、完全にアウトですよと審査官に忠告されました(先の記事の判例参照)。