クレイムの用語解釈についてCAFCの判例(2006年11月13日)が出ました。Akevaがシューズメーカーのアディダスを訴えた事件です。
Akevaの特許は、靴底に特徴のあるシューズで、クレイムには「靴底が靴の裏に<<secured>>(固定)されている」と書かれていて、実施の形態には「靴底がdetachable(取り外し可能)な形態」しか開示していませんでした。
一方、アディダスのシューズ(イ号製品)は、靴底が固定されていて取り外しができないものです。
securedの用語の意味をめぐって争われました。Akevaは、通常の意味(辞書的意味)では、securedは、detachably securedにも、permanently securedにも解釈されると主張したようですが、「クレイムの用語は、明細書を参酌して解釈する」という原則(先例のPhillips事件、大法廷判決で示されたもの)にしたがって、CAFCは、securedをdetachably securedの意味に限定解釈しました。
そこまでは良いとして、今回の判例でおもしろかったのは次の2点です。
(1)securedを実施の形態を参酌してdetachably securedの意味に限定解釈したのは、「取り外し可能な靴底」は、発明のいくつかある特徴の1つではなく、発明の<<主たる特徴>>であるからだと述べている点。
すなわち、detachableであることが、いろいろある作用や目的の一つに過ぎなかったとしたら、救われたかもしれない点(”baffle”の事件みたいに、”流れを妨害する”以外の目的があれば、用語の意味は広がることがある)。
(2)「いろいろな変形例も本発明の範囲にある」みたいな明細書の定型句(boilerplateパラグラフというらしい)は、全く役に立たなかった点。(まあ、そうでしょうね。)