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	<title>知的財産　法とビジネス &#187; 知財実務</title>
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	<description>Ａｑｕｉｌａ’ｓ　Ｂｌｏｇ</description>
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		<title>小保方晴子博士の「STAP細胞」特許出願は基本特許となるか？</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1381</link>
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		<pubDate>Fri, 31 Jan 2014 18:12:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ビジネス最前線]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>

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		<description><![CDATA[「数世紀に及ぶ生物細胞学の歴史を愚弄するものである」ー2012年、英Natureが彼女の論文の掲載を却下したときの査読者の評だという。理化学研究所の小保方晴子博士の発見したSTAP細胞はそれほどに「非常識」に満ちている。 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="Stem cell research" href="http://www.flickr.com/photos/50129941@N07/4602237183/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="Stem cell research" src="http://farm5.staticflickr.com/4004/4602237183_666dec1495.jpg" /></a>「数世紀に及ぶ生物細胞学の歴史を愚弄するものである」ー2012年、英Natureが彼女の論文の掲載を却下したときの査読者の評だという。理化学研究所の小保方晴子博士の発見したSTAP細胞はそれほどに「非常識」に満ちている。受精卵から体細胞へ分化すると、細胞は分化状態をメモリのように記憶しており、多能性細胞などの未分化細胞に戻る（初期化する）ことはないというのがかつての常識であり、体細胞を初期化するには高度な遺伝子操作が必要であると考えられていた。小保方博士の発見は、体細胞に一定のストレス（弱酸性の刺激）を与えることで、分化状態の記憶が消去され、多能性を再び獲得するということのようである。</p>
<p><span id="more-1381"></span></p>
<p>小保方博士は、大学院時代に留学していたハーバード大のチャールズ・バカンティ教授らと共同で国際特許出願（<a href="http://worldwide.espacenet.com/publicationDetails/biblio?DB=EPODOC&amp;II=0&amp;ND=5&amp;adjacent=true&amp;locale=jp_EP&amp;FT=D&amp;date=20131031&amp;CC=WO&amp;NR=2013163296A1&amp;KC=A1" target="_blank">公開公報WO2013/163296 A1”Generating pluripotent cells de novo”</a>）をしている。門外漢の私には専門的で何もわからないだろうと思ったが、特許請求の範囲（クレーム）を読んで驚いた。請求項１には、</p>
<blockquote><p>1. A method to generate a pluripotent cell, comprising subjecting a cell to a stress.（「細胞をストレスにさらすことを備える多能性細胞生成方法」）</p></blockquote>
<p>と記載されているだけであり、素人の私でもわかる「そのまま」なのである。小保方博士の今回の発明をこれ以上広い権利で言い表すことはできないであろう。特許請求の範囲をいかに広く記載するかが、特許の価値を左右する。学者の特許出願は、いきおい学術的になりがちであり、特許請求の範囲に余計な専門的限定が含まれ、狭い権利となることが多い。小保方博士らの国際特許出願は、その点、特許請求の範囲の記載はいずれも非常に広く書かれており、この分野の特許出願としては優れものであると思う。彼女の発明がきわめてシンプルな発想から生まれていることも大きな要因であろう。請求項１がこのまま特許になれば、間違いなく世界を制覇する「基本特許」となるだろう。</p>
<p>しかし、残念ながら、ここまで広い権利を取得することは難しいだろう。国際特許出願をすると国際調査機関が先行技術を調査してサーチレポートを発行する。上記の公開公報の最後にはそのサーチレポートが添付されている。サーチレポートによれば、小保方博士の国際特許出願の請求項１は、別の日本人女性の先行技術により新規性がないとされている。その日本人女性とは、東北大学の出澤真理教授である。彼女もまた、「Muse細胞」という多能性幹細胞の発見者として有名である（４７ＮＥＷＳ<a href="http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041901000770.html" target="_blank">『</a><a href="http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041901000770.html" target="_blank">皮膚、骨髄に多能性幹細胞　「安全性高い」東北大』</a>参照）。出澤真理教授の国際特許出願（<a href="http://worldwide.espacenet.com/publicationDetails/biblio?DB=worldwide.espacenet.com&amp;II=0&amp;ND=3&amp;adjacent=true&amp;locale=jp_EP&amp;FT=D&amp;date=20110120&amp;CC=WO&amp;NR=2011007900A1&amp;KC=A1" target="_blank">公開公報WO2011/007900 A1「生体組織から単離できる多能性幹細胞」</a>）には、</p>
<blockquote><p>生体がストレスに曝されたり、傷害を受けると休眠状態の組織幹細胞が活性化され、組織再生に寄与することが知られている。本発明者は、骨髄間葉系細胞画分や皮膚線維芽細胞画分等の間葉系細胞又は中胚葉系細胞を培養している際に種々の方法でストレス刺激を与え（例えば、無血清培養、Ｈａｎｋ’ｓ　Ｂａｌａｎｃｅｄ　Ｓａｌｔ　Ｓｏｌｕｔｉｏｎ（ＨＢＳＳ）による培養、低酸素培養、トータル３時間の間欠的短時間トリプシン培養、８時間若しくは１６時間の長時間のトリプシン培養等）、生存している細胞を集め、メチルセルロース（ＭＣ）含有培地中で浮遊培養（ＭＣ培養という）を行った。</p></blockquote>
<p>と記載されており、請求項１７には「生体組織由来細胞を細胞ストレスに暴露し生き残った細胞を回収することを含む多能性幹細胞又は多能性細胞画分を単離する方法。」が権利請求されている。「細胞をストレスにさらして多能性幹細胞を生成する」という基本アイデア自体は、どうやら小保方博士のオリジナルではないようだ。そうすると、どのような細胞にどのような状態でどのようなストレスを与えるかといった多能性細胞の生成の条件を限定することが特許取得のために必要となりそうである。</p>
<p>小保方博士の国際特許出願では請求項１３で、今回の弱酸性刺激以外にも様々なストレスが列挙されている。発明として完成している弱酸性刺激に限定するなら、特許が取得できる可能性は高い。また、サーチレポートを詳しく見れば、請求項７（「細胞が均一細胞集団にある」ことを限定）などには新規性または進歩性を否定する先行技術が少なくとも国際調査段階では発見されておらず、今後の世界各国（特に米国、日本、欧州）での出願審査を経てみなければわからないが、かなり広い権利が狙える余地も残されている。日本発の世紀の大発明に強力な特許権が付与されることを期待しながら、今後の特許出願審査の経過を見守りたい。</p>
<p>それにしても、 小保方博士の特許出願は、<a href="https://www.google.co.jp/url?sa=t&amp;rct=j&amp;q=&amp;esrc=s&amp;source=web&amp;cd=1&amp;cad=rja&amp;ved=0CCcQFjAA&amp;url=http%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fpatents&amp;ei=9N3rUrXpO4WAlQX5soCYAg&amp;usg=AFQjCNG_XlAI_9dSaH28NeN5O6bXJSSuSw&amp;sig2=FcsDkjVxSSTtjMeo3lr5Rw&amp;bvm=bv.60444564,d.dGI" target="_blank">Google Patent Search</a>で&#8221;haruko obokata&#8221;と入力するだけで誰でも閲覧できるのだから、日本のマスメディアは、「リケジョ」を追いかけ回す前に、論文を取り寄せたり、特許出願を検索してみるなど、もう少し自分で彼女の研究成果を調べる努力をしてみてはどうかと思う。特許出願には論文には記載されない技術情報があったり、研究開発の苦労や方向性などが示唆されていることもあり、第一級の資料である。ここからまだまだいろいろなことが読み取れるだろう。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
]]></content:encoded>
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		<title>『永遠の0』ー零戦の左捻り込みと「逆転洗濯機」の発明</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1342</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1342#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 24 Jan 2014 06:56:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[日本実務]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>

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		<description><![CDATA[今年になって映画『永遠の0』を観ましたが、宮部久蔵（岡田准一）は、宮部をライバル視する熟練パイロットの景浦（新井浩文）との模擬空戦で、前から突如消えたと見せかけて、気が付いたら景浦の背後にぴたりとつけていたという、見事な [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="「永遠の0」を観ました" href="http://www.flickr.com/photos/42764559@N08/11702942126/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="「永遠の0」を観ました" src="http://farm4.staticflickr.com/3810/11702942126_43de1f77c0_m.jpg" /></a>今年になって映画<a href="http://www.eienno-zero.jp/index.html" target="_blank">『永遠の0』</a>を観ましたが、宮部久蔵（岡田准一）は、宮部をライバル視する熟練パイロットの景浦（新井浩文）との模擬空戦で、前から突如消えたと見せかけて、気が付いたら景浦の背後にぴたりとつけていたという、見事な旋回飛行を見せます。あれは「左ひねり込み」という技で、熟練パイロットが使う魔法の技だそうです。しかし、零戦に「左捻り込み」はあっても、「右捻り込み」はありません。<span id="more-1342"></span></p>
<p>第二次大戦中の戦闘機の中でも屈指の運動能力を誇った零戦ですが、旋回能力は左右で違っていたのです。零戦は左旋回は得意ですが、右旋回能力には弱点がありました。一般にプロペラが高速に回転すると反作用により機体が逆方向に回転する力を受けて機体が傾きます。そこで、零戦は、わざと左右の揚力が不均衡になるように機体を左右非対称に設計していました。そのため、左旋回はできても右旋回はうまくできないのです。『永遠の0』をこれから鑑賞される方は、宮部の零戦の「左捻り込み」の技に注目してご覧になると面白いと思います。</p>
<p>このプロペラの回転により生じる反作用を打ち消すために、逆方向に回転する副プロペラを設けた「二重反転プロペラ機構」が後の戦闘機に採用されるようになりますが、第二次大戦当時はまだ試作レベルでした。</p>
<p>零戦からさらに話は飛びますが、洗濯機の脱水槽も、もの凄いスピードで回転しますから、その反動で洗濯機がひっくり返るのではないかと思ったことはないでしょうか。脱水槽と洗濯槽が別だった昔の「白い」洗濯機（当時、洗濯機と言えば白しかなかった）は、脱水すると洗濯機がガタガタと激しく振動して壊れるのではないかと思ったものです。あれが高速回転による「反作用」です。</p>
<p>内槽と攪拌器とが互いに反対方向に回転する機構を設けた中国発の洗濯機の発明<a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2014/01/JPA_2005505393.pdf" target="_blank">（特表２００５－５０５３９３号「逆転洗濯方法および伝動機」</a>）が日本に出願されました。この発明が解決する課題は、回転による反作用を打ち消すことではなくて、双方向洗濯によって洗濯清浄度を高めることですが、構造的には、「二重反転プロペラ機構」に似ています。特許庁は「二重反転プロペラ機構」のアイデアを洗濯機に適用することは容易であるとして、発明の進歩性を否定して特許出願を拒絶する審決をしました。</p>
<p>この特許庁のした審決が知財高裁で争われました（<a style="line-height: 1.714285714; font-size: 1rem;" href="http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111006132823.pdf" target="_blank">平成22年(行ケ)第10298号　審決取消請求事件　平成23年10月4日　知的財産高等裁判所</a>）。知財高裁は、逆転洗濯機と二重反転プロペラでは、技術分野が相違し、その設計思想も大きく異なり、解決課題も大きく隔たっていることから、洗濯機の動力伝達機構を改良する際、船舶等の二重反転プロペラの技術を適用することは困難であると判断しました。戦時中の戦闘機プロペラ技術をもってきてハイテク洗濯機の発明の進歩性を否定されたら発明者はたまったものではありません。</p>
<p>我が家の洗濯機の脱水槽が回転する様子を見ながら、零戦を旋回させながら敵艦に向かって降下して最期を遂げた宮部の姿を思い出していました。</p>
<p>なお、「逆転洗濯機」事件の判決については「 ぱっと見！判決」で専門的に解説しましたので、ご覧いただければと思います（<a href="http://iplawbusiness.net/blog/archives/1347" target="_blank">「</a><a href="http://iplawbusiness.net/blog/archives/1347" target="_blank">逆転洗濯機と二重反転プロペラでは解決課題が大きく隔たる</a><a href="http://iplawbusiness.net/blog/archives/1347" target="_blank">」</a>）。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
]]></content:encoded>
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		<title>今年ついた嘘を確実に取り消してもらう方法</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1314</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1314#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 18 Dec 2013 11:50:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[知財実務]]></category>
		<category><![CDATA[米国実務]]></category>

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		<description><![CDATA[医療法人「徳洲会」グループから５千万円を受け取った問題で猪瀬東京都知事の釈明が二転三転している。ひとつの小さな嘘を隠そうとするとさらに嘘をつかなければならなくなり、たくさんの嘘の間でつじつまが合わなくなってしまう。最初か [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="Naoki Inose Governor of Tokyo Metropolitan Government, at Nishi Shinjuku on Dec. 19, 2012. Hodo-bu Nagata interview. MIURA PHOTO." href="http://www.flickr.com/photos/18582488@N07/8980562375/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="Naoki Inose Governor of Tokyo Metropolitan Government, at Nishi Shinjuku on Dec. 19, 2012. Hodo-bu Nagata interview. MIURA PHOTO." src="http://farm8.staticflickr.com/7428/8980562375_d0cf09deb9_m.jpg" /></a>医療法人「徳洲会」グループから５千万円を受け取った問題で猪瀬東京都知事の釈明が二転三転している。ひとつの小さな嘘を隠そうとするとさらに嘘をつかなければならなくなり、たくさんの嘘の間でつじつまが合わなくなってしまう。最初から嘘をつかなければいいのだが、嘘をついてしまったら、まずは素直に認めることだ。今日は、米国で特許を取得する手続の中で、嘘をついたらどうなるか、そしてその嘘を取り消してもらうにはどうすればよいか、アメリカの訴訟事件から学んでみよう。年の瀬である。今年一年自分のついた嘘を振り返り、嘘を取り消したいと悩んでおられるのは都知事だけではなかろう。人は嘘をつく動物なのだから。<span id="more-1314"></span></p>
<p>2013年10月9日にCAFC判決が出<a href="http://caselaw.findlaw.com/us-federal-circuit/1646494.html" target="_blank">たIntellect Wireless, Inc. v. HTC Corp. (Fed. Cir. 2013) </a>を取り上げる。インテレクト社の米国特許出願の発明者であるヘンダーソン氏は、出願審査において、出願日よりも前に公知となっていた先行技術を回避するために、自分の発明は先行技術よりも先に発明されたものであることを宣言する宣誓供述書を提出した。先発明主義（旧法）のもとでは、出願日から発明日に遡って、自分の発明が先行技術よりも先に完成した発明であることを立証（&#8221;swear behind&#8221;と呼ばれる）して先行技術を回避することができる。</p>
<p>しかし、裁判において双方が認めているように、ヘンダーソン氏の最初の宣誓供述書には虚偽が含まれていた。米国では、特許を取得する過程で不公正行為（inequitable conduct）があると、特許を権利行使することができなくなる。</p>
<p>ヘンダーソン氏がついた嘘はこういうものである。「本発明は現実に実施化され（actually reduced to practice）、1993年7月のミーティングでデモをした。」</p>
<p>ここで、米国における発明日の認定について解説が必要である。発明は、着想（conception）の段階（発明をひらめいたり、思いついたりする段階）と、着想の具体化（reduction to practice）の段階（思いつきを具体的な問題解決手段に落とす段階）に分かれる。「発明日」とは、基本的には、着想を得た日（思いついた日）ではなく、「着想の実施化（具体化）」（reduction to practice）をした日である。</p>
<p>この「着想の実施化」には二通りあり、その一つが「現実の実施化」（actual reduction to practice）である。ヘンダーソン氏は、「現実の実施化」の日がデモを行った1993年7月であると宣言したのである。これが本当であれば、発明日は、出願日より前である1993年7月であり、自分の発明は先行技術よりも前に完成した発明であると主張して、先行技術を回避することができる。</p>
<p>しかし、証拠によれば、本発明が現実に実施化されたという事実はない。ヘンダーソン氏は虚偽の宣誓を行っていたのである。</p>
<p>ところが、ヘンダーソン氏は、特許出願の審査過程で、宣誓供述書の訂正版を提出しており、インテレクト社の代理人弁護士の主張によれば、発明者は訂正版宣誓供述書において「現実の実施化」ではなく「擬制的実施化」（constructive reduction to practice）に主張を切り替え、審査官にもそれを説明し、審査官は「擬制的実施化」に依拠して特許出願を許可し、特許が発行されるに至ったというのである。</p>
<p>また解説が必要になった。先に「着想の実施化」には二通りあると書いたが、そのもう一つが「擬制的実施化」である。「擬制」というのは法律用語で、「みなす」という意味である。現実の実施化はしていないが、「実施化」（reduction to practice）をしたとみなすという意味である。「実施化」とみなされる行為として代表的なものは、「特許出願」である。特許出願をする際、発明の詳細な説明に実施例を書くが、これは当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載しなければならない。したがって特許出願をするためには、発明が着想の段階にとどまっていただけでは不十分であり、実施例を記載できる程度に具体化されていなければならない。このことから、記載要件を満たした特許出願をしたということをもって、発明が具体化（実施化）されたとみなしてもよいということである。これが「擬制的実施化」である。</p>
<p>特許出願という「擬制的実施化」が認められても、出願日は先行技術の公知日よりも後なのだから、それ自体ではどうしようもないのであるが、発明の着想（conception）から実施化（reduction to practice）までの間、勤勉な努力（due diligence）を継続していた場合、発明日は、実施化の日から着想を得た日にまで遡ることができる。ヘンダーソン氏は、発明の着想の日から特許出願までの勤勉な努力（特許出願書類を準備するに当たって実施例を考えたり、プロトタイプを作るなど）を続けたから、着想の日を発明日として認定するよう、審査官に求めたのである。</p>
<p>簡単に言えば、ヘンダーソン氏は、現実に実施化をしたという最初の話は間違いだったかもしれないが、実施化とみなされること（特許出願）はしたし、それに至るまで継続的に努力もしたのだと言い直したのである。このあたり、いろいろ追求されると、記憶にないと言いながら、弁解する政治家の答弁みたいで面白いと思う。実際、裁判所は、ヘンダーソン氏は、訂正版宣誓供述書によって、良く言っても「真実をわかりにくくした（obfuscated the truth）」だけだと、つれない。</p>
<p>裁判所は過去の判例を引用して、宣誓供述書の虚偽を訂正するなら、具体的にどこに虚偽があるのかを明確に陳述するべきであり、事実に関して虚偽があるなら、本当の事実は何であるのかを知らせるべきであると指摘している。嘘をついた人間にはつらいことであるが、何が嘘であって、真実は何であるかを明らかにして初めて、過去についた嘘を取り消してもらえるのである。それをしなかったヘンダーソン氏は、訂正版宣誓供述書においても過去の虚偽を明確に否定したのではないのであるから、依然として不公正行為があることに変わりがないとして、控訴裁判所は、特許は権利行使不能であるとした地裁判決を維持した。</p>
<p>嘘はすべてを無に帰し、取り返しのつかないことになった。最初についた嘘はすぐに素直に認めよう。肝に銘じたい。</p>
<p>なお、本事件は、本来は、「不公正行為」の判断基準を厳格化したTherasense事件大法廷判決の観点から解説すべきものであるが、それについてはまた日を改めて書きたいと思う。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>「あらゆる一般化は間違っている。これも含めて」</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1298</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1298#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 03 Dec 2013 12:43:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[欧州実務]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>

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		<description><![CDATA[「あらゆる一般化は間違っている。これも含めて」とは、『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェインの名言である。「男は信用ならぬものだ」などと安易な一般化で人間や物事を理解したつもりになることを戒めたものであろう。「あ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="All generalizations are false, including this one. (Mark Twain) http://bit.ly/14kY36b" href="http://www.flickr.com/photos/78544731@N00/8645423091/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="All generalizations are false, including this one. (Mark Twain) http://bit.ly/14kY36b" src="http://farm9.staticflickr.com/8523/8645423091_9fd628de82_m.jpg" /></a>「あらゆる一般化は間違っている。これも含めて」とは、『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェインの名言である。「男は信用ならぬものだ」などと安易な一般化で人間や物事を理解したつもりになることを戒めたものであろう。「あらゆる一般化は間違っている」と一般化すること自体も、間違いであると自戒を込めたのはウィットに富んでいる。今日は、マーク・トウェインに敬意を払い、特許請求の範囲（特許の保護を求める範囲）の「一般化」の話をしよう。<span id="more-1298"></span></p>
<p>欧州特許庁から欧州特許出願の拒絶理由として、特許請求の範囲に記載された請求項の補正が許可されないIntermediate Generalisation（中間的一般化）に該当し、新規事項の追加である（EPC123(2))との通知を受け取ることがある。Intermediate Generalisationとは欧州特許庁(EPO)の審査ガイドラインに記載されたもので、EPOの審査に特有の概念であると思う。</p>
<p>Intermediate Generalisationとは、明細書の実施の形態に複数の特徴の組み合わせが開示されている場合に、その複数の特徴の組み合わせから、ある特定の特徴だけを抽出して請求項を限定する補正のことである。そのような補正が許されるのは、複数の特徴の間に構造上および機能上の関係がない場合に限られるというのが、EPOの審査基準である（<a href="http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/guidelines/e/h_v_3_2_1.htm" target="_blank">Guidelines for Examination H-V, 3.2.1</a>）。密接不可分な複数の特徴の組み合わせから特定の特徴だけを抽出して請求項を補正することを許すと、明細書には開示されていなかった主題が特許されることになってしまうからである。</p>
<p>複数の特徴の組み合わせから特定の特徴だけを取り出して請求項に追加した場合、他の特徴は請求項からは省略される。省略された他の特徴が、課題を解決するために不可欠な構成である場合、その不可欠な他の特徴を欠いた請求項は、明細書に開示された内容を超えて一般化された主題について保護を要求するものとなる。EPOはそのような補正をunallowable  intermediate generalisationまたはundisclosed  intermediate generalisationとして禁止する。補正するならば、課題を解決するために不可欠な他の特徴とともに追加しなければならない。</p>
<p>一例として、EPO審決<a href="http://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/recent/t040166eu1.html" target="_blank">T166/04</a>を紹介する。この事件では、マルチプロセッサシステムにおけるデータブロックのアクセスの順序付けのためのシリアライゼーションポイントについて機能的に記載した請求項に対して、キャッシュコヒーレンシーアーキテクチャの構成の一部として明細書に開示された特定の特徴を追加した補正が問題とされた。その追加された特定の特徴は、他の特徴と密接不可分に関連してキャッシュコヒーレンシーを達成するものであるから、その特定の特徴だけを他の特徴から切り離して請求項に追加する補正は、明細書の開示内容を超えるものであるから、許されないとされた。</p>
<p>このように密接不可分に関連し合って一定の目的を達成する複数の特徴の組み合わせから、特定の特徴を不可欠な他の特徴から分離し、請求項を限定するために用いることは、unallowable/undisclosed  intermediate generalisationとして禁止されるが、Intermediate Generalisation自体が禁止されているのではないことに留意されたい。ある特定の特徴が他の特徴と密接不可分に関連しておらず、他の特徴が課題解決のために必須でなく、その特定の特徴を分離して一般化に用いることが明細書の開示内容全体から合理的に理解できるものであるなら、そのようなIntermediate Generalisationは許される。</p>
<p>発明を開示する際、複数の特徴の組み合わせから特定の特徴を切り離して抽出することが無理なくできるように、他の特徴が必須ではなく、特定の特徴だけでも課題を解決できることを明確にしておくなど、明細書の記載の仕方には工夫が求められる。また、特定の特徴だけを抽出して補正する際は、それが許されるべきIntermediate Generalisationであることの主張立証をEPO審査基準に照らして丁寧に行うことが求められる。</p>
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		<title>「クルルンポイ」の損害賠償額の増額判決は外国企業に朗報</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1278</link>
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		<pubDate>Fri, 01 Nov 2013 11:29:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ビジネス最前線]]></category>
		<category><![CDATA[日本実務]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>

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		<description><![CDATA[「におい・クルルンポイ」という商品をお使いでしょうか？赤ちゃんのおむつをくるるんっとフィルムに包んでポイっと捨てるものです。子どもが大きくなった私にはもう関係ないですが、おむつはトイレには流せないのでこれは助かりますよね [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft" alt="cloth nappies (diapers) on the line" src="http://farm6.staticflickr.com/5267/5759893591_5087fbcd5e_m.jpg" width="240" height="159" /><a href="http://www.combi.co.jp/products/diaper/kurupoi/" target="_blank">「におい・クルルンポイ」</a>という商品をお使いでしょうか？赤ちゃんのおむつをくるるんっとフィルムに包んでポイっと捨てるものです。子どもが大きくなった私にはもう関係ないですが、おむつはトイレには流せないのでこれは助かりますよね。この製品、日本ではコンビ株式会社が販売していますが、製造元はSangenicというイギリスの会社であり、英国では<a href="http://www.tommeetippee.co.uk/department/nappy-disposal-systems/" target="_blank">Nappy Disposal System</a>として販売されています。<span id="more-1278"></span></p>
<p>サンジェニック・インターナショナル・リミテッド（以下「英サンジェニック社」）は、赤ちゃんの使用済み紙おむつ処理容器のカセットに関して、日本において特許権（特許第４４０２１６５号「ごみ貯蔵機器」）をもっていますが、日本には子会社がないようです。英サンジェニック社は、当初、大阪のアップリカ・チルドレンズプロダクツ株式会社を日本における総代理店として包括的な販売代理契約を締結し、アップリカ社は英サンジェニック社の製品を輸入して「におわなくてポイ」という商品を販売していましたが、2008年に販売代理契約は満了し更新されませんでした。英サンジェニック社は、その後、東京のコンビ株式会社を日本における総代理店とし、コンビ社が英サンジェニック社の製品を輸入し、「におい・クルルンポイ」の容器とカセットを販売しています。一方、販売代理契約を切られたアップリカ社は、「におわなくてポイ」用のカセットの販売を続けていたようです。おむつ処理容器は、カセットを交換して取り付けて使用するものであり、プリンタのインクカートリッジと同様、カセット（消耗品）の販売も大きなビジネスになります。おむつ処理容器にサードパーティのカセットを取り付けることも可能ですから、カセットの販売を特許でどう守るかが鍵になってきます。</p>
<p>英サンジェニック社（原告）は、自らの特許権を侵害されたとして、アップリカ社（被告）に販売差止めと損害賠償を求めました。東京地裁は平成２３年１２月２６日、アップリカ社による特許権侵害を認め、販売差止めと約2100万円の賠償を命ずる判決を下しました（<a href="http://www.ip.courts.go.jp/hanrei/pdf1/g_panel/10015_gen.pdf" target="_blank">平成２１年（ワ）第４４３９１号</a>）が、英サンジェニック社は、損害賠償額を不服として控訴していました。東京地裁が認めた損害賠償額は特許法102条3項の「実施料相当額」であり、英サンジェニック社が求めた損害賠償額に比べて低いものだったからです。控訴審において、知財高裁は、平成２５年２月１日、一審判決の約７倍の約１億４８００万円の損害賠償を命ずる判決を下しました（<a href="http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130225102808.pdf" target="_blank">平成２４年（ネ）第１００１５号</a>）。</p>
<p>損害賠償額が増額となった理由は、知財高裁は、損害額の算定に当たり、特許法102条2項の損害額の推定規定を適用したためです。この規定は、侵害者が特許権を侵害行する為で得た利益をもって、特許権者が被った損害の額（「逸失利益」と考える）と推定するものです。</p>
<p>一般に、特許権の侵害行為によって特許権者が損害を受けた場合、特許権者は侵害者に対して不法行為による損害賠償請求（民法709条）ができますが、それには、損害の発生と、侵害行為と損害発生の因果関係について、特許権者が主張立証する必要があります。しかし特許権侵害訴訟では、その立証には大変な困難が伴うことから、特許権者側の立証負担を軽減するために、特許法102条2項の損害額の推定規定が設けられています。</p>
<p>英サンジェニック社は、特許法102条2項の損害額の推定規定を適用すれば、損害賠償額はもっと高くなることを主張しました。しかしこれには超えなければならない判例法上のハードルがありました。特許法102条2項は、損害額を推定するものですが、損害の発生までを推定するものではありません。侵害者側は損害は発生していない（侵害行為と損害発生の間に因果関係がない）ことを反論することができます。これまでの裁判例では、特許権者が自ら特許発明を実施（製造、販売など）していない場合、逸失利益たる損害も観念し得ないことから、特許法102条2項の損害額の推定規定の適用には、特許権者による特許発明の実施が要件であると解されてきました。原審では、その従前の解釈の下、英サンジェニック社は、日本における総代理店であるコンビ社に独占的販売権を付与し、日本における原告製品の輸入及び販売はコンビ社が行っているのであって、英サンジェニック社が日本において特許発明を実施していたとは認められないとして、特許法102条2項の損害額の推定規定の適用を退けました。</p>
<p>確かに、英サンジェニック社は、日本において特許製品を製造しておらず（製造は英国で行われている）、また日本において特許製品の販売もしていません（販売しているのは日本の代理店）。しかし、このような杓子定規な法律の適用の仕方では、在外の特許権者の損害を十分に補填することができません。外国企業は、日本で自社製品を販売するために、既に日本市場に販路をもっている日本のメーカーを販売代理店として利用することも多いと思います。この点、控訴審において、知財高裁大合議は、英断を下したと思います。従前の裁判例とは異なり、特許権者が自ら特許発明を実施していない場合でも、特許法102条2項の損害額の推定規定の適用を認めたのです。</p>
<p>原告が主張したように、特許法102条2項は、損害（逸失利益）の発生までも推定する規定ではないところ、論ずべきは「損害（逸失利益）の発生の有無」であって、「特許権者の実施の有無」ではありません。特許権者による日本における特許発明の実施が、特許法102条2項の推定規定適用の要件であるかのようにこれまで論じられてきたのは、おかしいではないかというのが、今回の知財高裁大合議の判決です。</p>
<p>もちろん、特許権者が実施していない場合にいつでも特許法102条2項の推定規定が適用されるわけではありません。本件では、英サンジェニック社はコンビ社と独占販売契約を締結し、英国で製造された自社製カセットをコンビ社に販売（輸出）し、コンビ社がそれを日本において販売しています。このことから、英サンジェニック社はコンビ社を通じて日本国内に自社製カセットを供給し、日本市場を支配していることが認められます。また、英サンジェニック社のカセットは、被告の侵害製品と競合しており、被告の侵害行為がなければ、顧客は英サンジェニック社のカセットを購入していたであろうことが認められます。すなわち、被告の侵害行為によって、英サンジェニック社のカセットの日本国内での売上が減少していること（逸失利益の発生）が認められます。</p>
<p>このような事実経緯を踏まえて、裁判所は、原告には、被告の侵害行為がなかったならば利益が得られたであろうという事情が認められることから、特許法102条2項の損害額の推定規定を適用しました。</p>
<p>外国企業が 日本において特許権を保有していても、損害賠償額が実施料相当額にしかならないのでは、日本で特許を取得して、日本市場に参入して競合メーカーと闘おうという意欲も減じられてしまいます。今回の知財高裁判決のような、現場のビジネス感覚に合った法律の解釈と適用は、特許権の活用を通じて市場の活性化を図る観点から、歓迎されます。日本はこのようなプロパテント政策をもっと推し進めるべきだと思います。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
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		<title>ibooksはインターネット電子書籍サービスの記述的商標でしかない</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1257</link>
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		<pubDate>Tue, 08 Oct 2013 08:02:08 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ビジネス最前線]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>
		<category><![CDATA[米国実務]]></category>

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		<description><![CDATA[Apple Inc.の商標iBooksの使用はJ. T. Colby &#38; Company, Inc.らが使用する未登録商標「ibooks」に抵触するとしてApple Inc.が訴えられた商標権侵害事件は、米国ニュ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft" alt="iBooks icon" src="http://farm9.staticflickr.com/8388/8584814589_f1be1cab8a_m.jpg" /></p>
<p>Apple Inc.の商標iBooksの使用はJ. T. Colby &amp; Company, Inc.らが使用する未登録商標「ibooks」に抵触するとしてApple Inc.が訴えられた商標権侵害事件は、米国ニューヨーク州南部連邦地裁の2013年5月8日の略式判決によりColby側が敗訴しています（<a style="line-height: 1.714285714; font-size: 1rem;" href="http://www.dimt.it/immaginiUtenti/file/Contributi/IBooks_doc2.pdf" target="_blank">J.T. Colby &amp; Company, Inc. et al v. Apple, Inc.(S.D.N.Y. May 8, 2013)</a>）。しかし、これは電子書籍サービスにibooksという表記ができなくなることを意味しません。</p>
<p><span id="more-1257"></span></p>
<p>原告Colby &amp; Co., Inc.ら は、紙の書籍と電子書籍の両方にibooksという標章を使用していましたが、商標登録はしていませんでした（商標登録を試みたが米国特許商標庁に拒絶された経緯があるようです）。</p>
<p>原告らは、被告Apple Inc.が電子ブックリーダーソフトウェアに標章「iBook」を使用することは、原告の未登録商標「ibooks」に係る権利を侵害すると主張しました。日本では、商標登録することが商標権の効力発生要件です（「登録主義」）が、米国は「使用主義」を採用しており、商標権は商標の使用によって発生します。そのため本事件のような原告の未登録商標「ibooks」であっても商標権を主張することができます。</p>
<p>しかしながら、識別力（自他商品識別性）のない商標は保護されません。米国では、識別力の順に商標を(1) 普通名称（generic term）、(2) 記述的商標（descriptive mark）、(3) 暗示的商標（suggestive mark）、(4) 恣意的または創造的商標（arbitrary or fanciful mark)に分類しています（後になるほど識別力がある）。暗示的商標、恣意的または創造的商標は固有の識別力があることから、商標として保護されます。記述的商標は長期間使用された結果、「使用による識別性」（米国では、secondary meaningと呼ばれています）を獲得したことが立証されなければ、商標として保護されません。普通名称はそもそも識別力がなく、商標として保護されることはありません。</p>
<p>たとえば、商品「本」に付した標章「book」は「普通名称」であり、識別力がなく保護されません。商品「本」に付した標章「electronic book」（電子書籍）は、商品の性質を記述したものであり、「記述的商標」です。</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-1260" style="line-height: 24px;" alt="ibooks" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/10/ibooks.jpg" width="176" height="181" /></p>
<p>原告らが使用していた未登録商標は「ibooks」という文字列の上に電球の図形（電球の中には「i」の文字がある）を組み合わせた結合標章でした。しかし、原告らは「ibooks」という文字列に識別性があると主張し、「ibooks」は、需要者に「アイデアのある本」を想起させる「暗示的商標」（suggestive mark）であると主張しました。原告らは、暗示的商標であれば（記述的商標ではないため）、使用による識別性（secondary meaning）を立証する必要はないとも主張しました。</p>
<p>確かに、電球は、「アイデア」や「ひらめき」を意味するマークとして使われますので、電球の図形を組み合わせた「ibooksのロゴ」には識別力がありそうです。地裁も、記述的な文字列が識別力のある図形と組み合わさった標識は、全体として、識別力をもちうることを認めています。しかし、原告らは、電球の図形を組み合わせたibooksのロゴに対する保護を求めたのではなく、Apple Inc.が電子書籍リーダーに「ibooks」という単語を使用することに対して権利を主張していたのです。</p>
<p>そのため、地裁は、電球の図形が有する識別性は考慮に入れず、単語「ibooks」における「i」の文字は「インターネット」を表すものとして需要者に認識されることから、原告の「ibooks」は「インターネットで販売される書籍」を意味する記述的商標に過ぎないとして原告の主張を退けました。</p>
<blockquote><p>In this case, the plaintiffs have presented no evidence that the ibooks mark conveys anything to consumers other than “books available for sale on the Internet.” In other words, the plaintiffs have not presented evidence to support a finding that the mark ibooks is anything other than a descriptive mark.</p></blockquote>
<p>また、「ibooks」が「記述的商標」であるとすれば、商標として保護されるためには、「使用による識別性」（secondary meaning）を立証することが原告に求められます。すなわち、需要者が標章「ibooks」を見れば、それが原告の商品であると認識できるほどの識別性を獲得していることが必要です。</p>
<blockquote><p>To determine whether secondary meaning exists, a court considers whether the primary significance of the mark to the consuming public is to “identify the source of the product<br />
rather than the product itself.”</p></blockquote>
<p>しかし、原告は、「ibooks」が「使用による識別性」を獲得したことを十分な証拠を挙げて立証することはできなかったようです。</p>
<blockquote><p>Drawing all inferences in the plaintiffs’ favor, no reasonable jury could conclude that, as of 2010 when Apple announced its e-reader software, a substantial segment of ordinary consumers in the plaintiffs’ market associated the mark “ibooks” with a single source.</p></blockquote>
<p>結局、原告の文字標章「ibooks」は記述的商標であり、使用による識別性を有しないことから、商標として保護されませんでした。</p>
<p>一方、Apple Inc.は、「インタラクティブでユーザが編集可能な電子ブックを支援および生成するためのコンピュータハードウェアおよびソフトウェア」に関する登録商標「IBOOK」をFamily Systems Ltd.から譲受しています。この判決によると、文字標章「ibooks」は記述的商標であるとされており、ibooksという文字列を、電子書籍の性質を記述的に説明するために用いる限りは、Apple Inc.の登録商標「IBOOK」の侵害を構成することはないと言えます。</p>
<p>なお、原告は地裁判決を不服として控訴しているようですから、今後の控訴審の判決にもご留意ください（控訴審判決が出れば、追って紹介いたします）。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
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		<title>人をほっとさせるレモン飲料なのか、温かいレモン飲料なのか？</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1201</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1201#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 18 Sep 2013 09:01:16 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ビジネス最前線]]></category>
		<category><![CDATA[日本実務]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>

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		<description><![CDATA[カルピス株式会社の商標「ほっとレモン」の商標登録の取消決定を維持する判決が知財高裁から出されました（平成24年(行ケ)10352号（知財高裁平成25年08月28日判決））。カルピス社は商標「ほっとレモン」が「人をほっとさ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="Calpis Hot Lemon" href="http://www.flickr.com/photos/39264085@N05/6973013701/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="Calpis Hot Lemon" src="http://farm8.staticflickr.com/7183/6973013701_697261cdf4_m.jpg" /></a>カルピス株式会社の商標「ほっとレモン」の商標登録の取消決定を維持する判決が知財高裁から出されました（<a href="http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130829114918.pdf" target="_blank">平成24年(行ケ)10352号（知財高裁平成25年08月28日判決）</a>）。カルピス社は商標「ほっとレモン」が「人をほっとさせるレモン飲料」というイメージとともに多くの需要者に周知されてきていると主張しましたが、裁判所は、商標「ほっとレモン」は、「温かいレモン飲料」であることを普通に表示する標章のみからなる商標に過ぎず、「ほっと」の文字部分が長く使用された結果、商品の出所識別機能を有するに至ったものではないとしました。<span id="more-1201"></span></p>
<p>カルピス株式会社は、「レモンを加味した清涼飲料、レモンを加味した果実飲料」を指定商品とする商標「ほっとレモン」（商標登録第５４２７４７０号）の商標権者ですが、サントリーホールディングス株式会社およびキリンホールディングス株式会社から登録異議の申立てがなされ、特許庁により、商標登録を取り消す旨の決定がなされました。本事件は、カルピス株式会社（原告）が、特許庁の異議決定の取り消しを裁判所に請求したものです。</p>
<p>一般に、 「商品の…品質、原材料…を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」（商標法３条１項３号）は商標登録を受けることができません。商品の品質や原材料をそのまま記述しただけの商標（「記述的商標」と呼ばれます）に商標登録を認めると、他人が取引に際し商品の内容を表示することもできなくなるからです。「ほっとレモン」が「温かいレモン飲料」であることを普通に表示する標章のみからなる商標（記述的商標）であるとすると、商標登録は受けることができません。</p>
<p>しかしながら、そのような記述的商標であっても、長く使用された結果、識別力を有するようになる商標もあります。これを「使用による識別性」を獲得した商標といいますが、使用によって識別力をもつに至った商標については以下のように例外的に登録が認められています。</p>
<blockquote><p>前項第三号（筆者注：「記述的商標」）から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が<strong>何人かの</strong>業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。（商標法３条２項）</p></blockquote>
<p>この「使用による識別性」に関して、原告のカルピス株式会社はたいへん興味深いアンケート調査結果を裁判所に提出しています（当該判決から引用します）。</p>
<blockquote><p>『缶やペットボトル入りの温かいレモン飲料』ときくと，なんという商品名やメーカー（会社名）が思い浮かぶか」との質問に対して，「ホットレモン」と回答した者は全体の２７．３％であり，「ほっとレモン」と回答した者は全体の２０．３％であった。</p>
<p>ａ 「ホットレモン」と回答した者に対するさらなる質問において，メーカー名について回答した者は次のとおりであった。<br />
キリン（０．７％）<br />
カルピス（１．０％）<br />
サントリー（０．７％）<br />
ダイドー（０．７％）<br />
ポッカ（９．７％）<br />
ＪＴ（０．３％）<br />
小岩井（０．３％）。<br />
わからないとの回答（１４．７％）。</p>
<p>ｂ また，「ほっとレモン」と回答した者のうち，メーカー名について回答した者は，次のとおりであった。<br />
カルピス（０．３％）<br />
キリン（０．３％）<br />
サントリー（０．３％）<br />
アサヒ（０．７％）<br />
ポッカ（７．７％）<br />
わからないとの回答（１１．０％）</p></blockquote>
<p>質問に対して需要者の２割が商標「ほっとレモン」を思い浮かべるが、それがカルピスの商標であると正しく認識できている需要者は全体の０．３％ときわめて少ないことがわかります。</p>
<p>かくいう私も、あの温かいペットボトルに入った「ほっとレモン」はとても好きで愛飲していましたが、これがカルピスの商品であることはあまり意識していませんでした（私も７．７％の需要者のようにポッカの商品と思い込んでいたかもしれませんーこれは失礼しました！）。</p>
<p>裁判所は、この需要者のアンケート調査結果を踏まえ、「「ほっとレモン」の文字，及び同文字の一部である平仮名「ほっと」が，調査時点において，「缶やペットボトル入りの温かいレモン飲料」との品質，原材料等を説明的に示すものとして使用されており，それを超えて，特定の出所識別機能を有するものとして使用されているということはできない。」と認定しています。</p>
<p>しかし、もう一度、法律に戻って考えてみましょう。商標法３条２項には「使用をされた結果需要者が<strong style="line-height: 1.714285714; font-size: 1rem;">何人かの</strong>業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」とあります。ここで条文に「何人かの」と規定されているのは、当該商標を付した商品が特定人の業務に係るものであることの認識までは問わない趣旨であると解されます。すなわち法律上は、使用による識別性が認められるためには、＜誰＞（who）の業務に係る商品であるかを特定できなくても、＜誰か＞（somebody）の業務に係る商品であることを認識できれば足りると解されます。</p>
<p>「ほっとレモン」はどうでしょうか。アンケート調査によれば、質問に対して需要者の２０．３％が「ほっとレモン」と回答しており、それが＜誰か＞の業務に係る商品であることを認識しているようです。しかし、それが＜誰＞の業務に係る商品であるかを正しく認識できている人はごくわずかでした。需要者全体の２０．３％という数字が十分であるかどうかという問題はありますが、「ほっとレモン」が記述的商標であったとしても、カルピス社がその商標を使用した商品を大量に販売し、広告宣伝活動にも努めた結果、需要者の相当数が「ほっとレモン」が<strong style="line-height: 1.714285714; font-size: 1rem;">何人かの</strong>業務に係る商品であることを認識することができるようになったと評価する余地もあるように思います。</p>
<p>さらには、「本件商標を「みた／みたような気がする」と回答した者は９０％であり，「ＣＡＬＰＩＳ」の文字を消去した原告商品の写真について「みた／みたような気がする」と回答した者は９５．７％であった。」との調査結果や、「缶やペットボトルに入ったホット飲料と聞くとどのようなブランドを思い浮かぶかとの問いに対して，「ほっとレモン」と回答したのは被験者全体の１７．４パーセントで，ホットドリンク全体の５番目に位置した。最も多く連想されたのは，「ジョージア」で３４．８パーセントであった。原告商品の商品認知度は８０パーセントであり，果実系飲料の中では最も高かった（甲３の１１）。」という調査結果も証拠提出されています。</p>
<p>需要者の多くは、本件商標「ほっとレモン」を付した商品がカルピスの業務に係るものであるとは正しく認識していないものの、本件商標「ほっとレモン」を付した商品を他の商品の中から選り分けて購入していることをうかがい知ることができると思います。</p>
<p>裁判所は、本件商標「ほっとレモン」が「特定の出所識別機能を有するものとして使用されているということはできない。」と認定していますが、商標の本質（本来的な機能）は、自社商品を他社商品から識別すること（「識別性」）にあり、「出所表示機能」（商標が付された商品の出所を需要者に認識させる機能）は、識別性のある商標から派生する三つの機能の一つである（他の二つは「品質保証機能」と「広告宣伝機能」であるとされています）と整理することもできます。</p>
<p>商標法３条２項の条文に立ち返って考えるなら、記述的商標であっても、長く使用された結果、需要者が＜何人か＞（any person）の業務に係る商品であることを認識することができるもの、すなわち自他商品識別機能を有するに至ったものについては、例外的に、商標登録を受けることができると考えることができそうです。条文は＜特定の者＞（a particular person）の業務に係る商品であることを認識することができることまでも求めていないように読めます。</p>
<p>商標「ほっとレモン」は、どこかで見たような気がするが、どの飲料メーカーだったかは覚えていない。一般需要者というのはそういうものだと思います。コンビニエンスストアや自販機などで販売されているものであれば、消費者は、一定の品質が保証されたメーカーによる飲料であるとして、安心して購入します。商標によって自分が飲みたい商品を他の商品から選別していますが、その商標がどの飲料メーカーの商標であるかはあまり意識していないものです。</p>
<p>商標とは、「商品を購入し、あるいは役務（サービス）の提供を受ける需要者が、その商品や役務の出所（誰が提供しているか）を認識可能とするために使用される標識」であり、「需要者は、標章を知覚することによって商品や役務の出所を認識し、購入したい商品、または提供を受けたい役務を選択することができる。」と説明されますが（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%95%86%E6%A8%99" target="_blank">wikipediaより引用</a>）、需要者は本当に商品の出所（誰が提供しているか）を認識しながら、商品を買っているのでしょうか。「ほっとレモン」の例を考えるとき、需要者は、商標の出所表示機能（誰の商品であるか）よりは、自他商品識別機能（どの商品であるか）を頼りに、商品を選択しているようにも思えます。自分の消費行動を振り返ってもそういうことがしばしばあります。気に入って繰り返し買う商品であっても、「あれっ？どこのメーカーだっけ？」とわからなくなる（意識すらしていない）こともしばしばです。</p>
<p>なお、補足しますが、仮に「ほっとレモン」に商標登録が認められたとしても、「温かいレモン飲料」であること（当該商品の品質や原材料）を普通に用いられる方法で表示する商標の使用には商標権の効力は及びません（商標法第２６条１項２号）。商標「ほっとレモン」に使用による識別性が認められ、指定商品「レモンを加味した清涼飲料、レモンを加味した果実飲料」について商標登録がなされたとしても、指定商品もしくはこれに類似する商品の品質や原材料を普通に用いられる方法で表示する商標を使用しても（たとえば、缶入りの温かいレモンジュースに普通に「ホットレモン」と表示した商品を販売するなど）、「ほっとレモン」の商標権の侵害にはならないし、そのような商標にはそもそも「ほっとレモン」に認められるような「自他商品識別機能」がないわけですから、「ほっとレモン」との間で、出所混同が生じる心配もないと考えられます。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
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		<title>代理人のミスに寛容な米国特許商標庁ー合衆国の建国の精神に立ち返って考える</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1177</link>
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		<pubDate>Wed, 04 Sep 2013 09:34:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[知財実務]]></category>
		<category><![CDATA[米国実務]]></category>

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		<description><![CDATA[特許や商標などの知的財産権を取得する手続きにおける代理人（出願人に代わって特許庁に対する手続きを行う弁理士や弁護士など）のミスは、知的財産権を取得できないという致命的な結果を招くことがある。しかしアメリカという国は懐が深 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="macro monday | generosity" href="http://www.flickr.com/photos/21236607@N07/5545732028/" rel=""><img class="alignleft" alt="macro monday | generosity" src="http://farm6.staticflickr.com/5091/5545732028_95f52ca6be_m.jpg" /></a>特許や商標などの知的財産権を取得する手続きにおける代理人（出願人に代わって特許庁に対する手続きを行う弁理士や弁護士など）のミスは、知的財産権を取得できないという致命的な結果を招くことがある。しかしアメリカという国は懐が深い。日本では考えられないような代理人の致命的なミスがあっても、出願人の権利を維持し、回復しようとする救済処置が充実している。これはアメリカ合衆国の建国の精神に立ち返って理解するとよい。<span id="more-1177"></span>たとえば、アメリカ合衆国の37 CFR（特許、商標及び著作権に関する連邦規則）にはこんなびっくりするような規則がある。</p>
<blockquote><p>37 CFR 1.57 Incorporation by reference.<br />
(a) Subject to the conditions and requirements of this paragraph, if all or a portion of the specification or drawing(s) is inadvertently omitted from an application, but the application contains a claim under § 1.55 for priority of a prior-filed foreign application, or a claim under § 1.78 for the benefit of a prior-filed provisional, nonprovisional, or international application, that was present on the filing date of the application, and the inadvertently omitted portion of the specification or drawing(s) is completely contained in the prior-filed application, the claim under § 1.55 or § 1.78 shall also be considered an incorporation by reference of the prior-filed application as to the inadvertently omitted portion of the specification or drawing(s).</p></blockquote>
<p>特許を取得するには、発明者または出願人が弁理士や弁護士などの代理人に依頼して発明について詳細に説明した明細書と図面を準備してもらい、米国特許商標庁に願書を添えて提出しなければならない。これを特許出願と呼んでいる。この特許出願手続きにおいて、&#8221;if all or a portion of the specification or drawing(s) is inadvertently omitted from an application&#8221;（明細書または図面の一部または全部をうっかり出し忘れた場合）って…、日本の代理人が読むと、目が点になってしまう。日本で代理人がこんなへまをやったら、特許出願がパーになってクビになりかねない。米国特許商標庁はこういう代理人のケアレスミスがあっても、救済の道を法律や規則によってきちんと整備しているのだから、なんともその寛容さは微笑ましいくらいである。</p>
<p>日本でなされた発明を米国に特許出願する場合、日本の特許庁に先に出願をしているこ場合がほとんどである。日本における先の出願の出願日から１年以内に「優先権」を主張してことで米国に出願すれば、日本における出願日を確保することができ、日本における出願日から米国における出願日までに行われた他者の出願等によって不利な取り扱いを受けないことが条約によって保証されている（パリ条約第４条）。</p>
<p>上記の規則37 CFR 1.57(a)によれば、日本国における先の出願（prior-filed application）の優先権主張は、うっかり提出し損なった明細書または図面に関しては、先の出願の参照による引用（incorporation by reference）とみなされる。アメリカの代理人がうっかり米国出願において明細書や図面を提出し損ねたとしても、日本における先の出願の優先権を主張した米国出願については、&#8221;incorporation by reference&#8221;（「参照による引用」）という「裏技」を適用することで、日本における先の出願が米国特許出願書類に引用されていたものとして見なされるというものだ。</p>
<p>したがって、日本における先の出願の優先権を主張して米国特許出願をしてさえいれば、日本における特許出願の明細書及び図面が、&#8221;incorporation by reference&#8221;の適用によって米国出願の一部と見なされ、仮に米国出願において明細書と図面のすべてを提出し損なっていたとしても、日本における先の出願の明細書及び図面からその内容を補正によって後から復活させることができるのである。</p>
<p>最近は電子的に特許庁に特許出願データを送るため、紙の書類を扱っていた昔とは違い、データの一部を送信し損なうなどの事故も起きうる。特許出願において明細書や図面を出し損なっていたことが後でわかると、日本であれば、代理人は真っ青になるものだ。代理人にこんなミスがあってはならないが、この規則を覚えておけば、無用に寿命を縮めなくて済む。アメリカの代理人はその意味では日本の代理人より少しは気楽なところがあるのかもしれない（そうだとしたら羨ましい）。</p>
<p>アメリカという国がこのように代理人のミスに寛容なのは、合衆国の建国の精神にまで遡れば理解できる。アメリカはつい最近まで先発明主義の国で、誰が最初に発明をしたのかを決定するインターフェアレンス（interference）という手続きがあって、出願すらしていなくても、後から「それはおれの発明だ」と言って特許を事後的に取得することのできる特殊な法制度をもっていた。（現在は国際ハーモナイゼーションの流れの中で「先願主義」に移行している。<a title="米国特許法改革ー先願主義に移行するまでの長い道のり" href="http://iplawbusiness.net/blog/archives/615" target="_blank">「米国特許法改革ー先願主義に移行するまでの長い道のり」</a>参照。）</p>
<p>アメリカは「発明者が第一」の国なのである（えっ、日本でも「国民の生活が第一」って政党があったって？）。</p>
<p>アメリカ合衆国は、建国当初から、憲法において発明者の権利を保護することを宣言した。アメリカ合衆国憲法第1条第8節第8項には</p>
<blockquote><p>著作者および発明者に対して、その著作物および発見に関する排他的権利を一定期間、付与することにより、科学と有用な技芸の進歩を促進すること</p></blockquote>
<p>と定められている。すなわち、アメリカ合衆国は、「発明」（技術思想）を保護するというよりは、「発明者」自身の権利を保護することを建国の礎としてきた。ほとんどの国が「先願主義」を採用する中で、アメリカ合衆国だけが頑なに「先発明主義」をこれまで貫き通してきた背景には、二百三十年も前の「建国の精神」があったということができる（ブログ投稿<a title="米国発明法の署名式ーオバマ大統領はペンを何回交換したか？" href="http://iplawbusiness.net/blog/archives/506" target="_blank">「米国発明法の署名式ーオバマ大統領はペンを何回交換したか？」</a>参照）。発明者の権利を保護することは、アメリカ合衆国の建国の理念の一つであり、代理人のミスごときで、発明者の権利を台無しにするわけにはいかないという強い意思と思想がそこにはあるのだ。この発明者の権利を保護する意識の高さが、代理人のミスに対する寛容さを生んでいる。アメリカ合衆国は、このように実に懐が深い国であり、しばしば建国の精神にまで立ち返ってこの国を理解することが必要である。</p>
<p><a href="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg"><img class="size-full wp-image-328 alignleft" alt="aoki" src="http://iplawbusiness.net/wp-content/uploads/2013/01/aoki.jpg" width="90" height="90" /></a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><a href="http://primeworks-ip.com/" target="_blank">プライムワークス国際特許事務所</a><br />
<a href="http://primeworks-ip.com/members/attorneys/takeshi-aoki" target="_blank">弁理士　青木武司</a></p>
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		<title>prima facie obviousnessとは</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1062</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1062#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 25 Jul 2013 05:41:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[法律問題]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>
		<category><![CDATA[米国実務]]></category>

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		<description><![CDATA[英米法（コモンロー）において、&#8221;prima facie&#8221;とは、反駁されないならば事実を証明するのに十分である一応の証拠のことです（参考wikipedia: Prima facie）。訴訟において、 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="prima facie apparel" href="http://www.flickr.com/photos/36948821@N06/5613574490/"><img class="alignleft" alt="prima facie apparel" src="http://farm6.staticflickr.com/5143/5613574490_88ffbe1c69_m.jpg" width="240" height="161" /></a>英米法（コモンロー）において、&#8221;prima facie&#8221;とは、反駁されないならば事実を証明するのに十分である一応の証拠のことです（参考<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Prima_facie" target="_blank">wikipedia: Prima facie</a>）。訴訟において、原告はまずprima facie （一応の証拠）を提示しなければなりません（「一応の疎明」をするとも言われます）。原告が&#8221;prima facie&#8221;を提示できない場合、被告の反論を待たずに、裁判所は訴えを棄却します。&#8221;prima facie&#8221;であることは訴えが裁判所で審理されるための前提となります。この考え方は米国の特許出願の審査にも適用されています。<span id="more-1062"></span></p>
<p>米国の特許出願の審査において、審査官はクレームされた発明の自明性（obviousness）を証明して出願を拒絶することができますが、prima facie obviousness（自明性の一応の立証）は<a href="http://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s2142.html" target="_blank">MPEP2142</a>に以下のように説明されています。</p>
<ol>
<li>自明性の一応の証拠を提示する最初の責任は審査官にある。</li>
<li>もし審査官が自明性の一応の証拠を提示していなければ、出願人は、非自明性の証拠を提出する義務を負わない。</li>
<li>しかし、審査官が自明性の一応の証拠を提示しているなら、非自明性を立証する責任は出願人に移る。</li>
</ol>
<p>したがって、審査官が最初にprima facie case of obviousnessを確立することに失敗しているなら、出願人は、prima facieを確立できていない旨を反論することができます。その場合は、上記のステップ２にとどまり、ステップ３まで進みませんので、クレームされた発明が非自明である証拠をあげる必要はありません。</p>
<p>このように、<span style="text-decoration: underline;">提示された先行技術がクレームされた発明を自明とする一応の証拠となることが審査官によって立証されるまでは、出願人は提示された先行技術に対する発明の非自明を反論する義務はありません</span>。</p>
<p>たとえば、クレームされた発明が引例から自明であるとされていても、引例にはクレームされた発明の重要な構成要素を欠いている場合、審査官は、発明の自明性の一応の証拠を提示したとは言えません。また、クレームされた発明が引例の組み合わせで自明とされている場合でも、引例が開示または教示している内容の組み合わせからは本願発明が得られない場合や、組み合わせの動機付けを欠いている場合なども、審査官は、発明の自明性の一応の証拠を提示したとは言えません。そのような場合、審査官の「自明性」の一応の立証に不備があることを指摘すれば、審査官はいったんは拒絶理由を取り下げて別の引例を探して来なければならなくなります。出願人から本願発明に進歩性がある（非自明である）ことを主張しなくても済みます。これは出願人が発明の進歩性の主張をする中で包袋禁反言を作ってしまうリスク（注１）を避けるのに役立ちます。</p>
<p>（注１）ここでは審査過程で不用意に発明の進歩性を主張することで特許権の範囲を不必要に制限するリスクのことである。</p>
<p>ところで、この記事に付けたflickrの写真、気になりませんか。<a href="http://www.primafacieapparel.com/" target="_blank">prima facie apparel</a>というアパレルの会社の商品です。彼らのVisionによると、</p>
<blockquote><p>At First Sight<br />
This term is mostly evident in law to site first hand evidence but to Brian, the founder of PFA, it was held in a different context. Who you are at a first impression is based mainly from appearance. Well that appearance can state more than just your features, let your apparel tell your story.</p></blockquote>
<p>やはり世の中「人は見た目が9割」でしょうか。明日からあなたもプリマ・ファキエ・アパレルで！</p>
<p>弁理士　青木武司</p>
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		<title>国境をまたいだ訴訟における代理人の秘匿特権</title>
		<link>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1052</link>
		<comments>http://iplawbusiness.net/blog/archives/1052#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 05 Jul 2013 11:30:12 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[Aquila]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[日本実務]]></category>
		<category><![CDATA[欧州実務]]></category>
		<category><![CDATA[法律問題]]></category>
		<category><![CDATA[知財実務]]></category>
		<category><![CDATA[米国実務]]></category>

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		<description><![CDATA[日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士／弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><a title="Intellectual Property in Common Law and Civil Law" href="http://www.flickr.com/photos/35143187@N02/8728563134/" rel=""><img class="alignleft" style="float: left;" alt="Intellectual Property in Common Law and Civil Law" src="http://farm8.staticflickr.com/7443/8728563134_4680d2c80f_m.jpg" /></a>日本企業がアメリカで知財訴訟に巻き込まれた場合に、日本の弁護士／弁理士と依頼者の間でなされた意見交換について秘匿特権があるかどうかが問題となります。日本の弁理士にも秘匿特権を認めるアメリカの判決が出ていることからこの問題は解決したと思っている人が多いですが、そ の理解はかなり怪しいので気をつけなければなりません。<span id="more-1052"></span></p>
<p>知的財産に関わる事件は国境をまたいで争われることが多くなっています。コモンロー（英米法）の国（アメリカ、英国、オーストラリア、カナダ）の 民事訴訟では、相手方に証拠の開示を要求することのできるディスカバリー制度がありますが、その対抗手段として、依頼人には、弁護士と依頼人の間 でなされた通信や文書について秘匿することのできる特権(attorney-client privilege)が与えられています。</p>
<p>一方、英国以外の欧州や日本のようなシビルロー（大陸法）の国にはこの秘匿特権が法律に明記されていません。日本の法律では、弁護士／弁理士には 職務上知り得た事実であって黙秘すべきものについて法廷で証言を拒否することができ（「証言拒否権」、民事訴訟法 197 条 1 項 2 号）、更に当該事実が記載された文書であって黙秘の義務が免除されていないものを提出することを拒否できます（「文書提出拒否権」、同法 220 条 4 号ハ）。しかしこれらの拒否権は、弁護士／弁理士に課せられた職務上の守秘義務による例外を規定したものであって、コモンローの国のような包括的かつ普遍的な「秘匿特権」の規定ではありません。</p>
<p>このようにコモンローの国とシビルローの国の法体系の大きな違いがある中、国境をまたいだグローバルな知的財産の訴訟が起こった場合（たとえば、 日本企業の製品がアメリカ企業の特許を侵害しているとアメリカで訴えられたような場合）、日本の弁護士／弁理士が日本企業との間でかわした特許侵 害の有無に関する意見や鑑定結果についてディスカバリー制度によって証拠の開示を要求された場合に、それを拒否できる「秘匿特権」が認められるか どうかが問題となります。</p>
<p>civil lawの国では弁護士／弁理士に守秘「義務」が課せられているのに対して、common lawの国では強力なディスカバリーに対する例外として弁護士とクライアントの間のコミュニケーションを秘匿する「権利」があるという構造になっています。つまり、コモンローの国とシビルローの国では、権利と義務が真逆になっています。両者の法体系の違いによる溝は深くて埋めがたく、小手先の法改正でこの溝を埋めることはできません。それぞれの法体系の長い歴史と根底にある鉄月の違いがあるからです。そのため、この問題の国際調和（ハー モナイゼーション）への道はきわめて険しいものとなっています。</p>
<p>まず、この権利と義務の違いについて、きちんと理解できている人は意外に少ないかもしれません。私自身、民訴の証言拒否権／文書提 出拒否権と、アメリカのディスカバリーにおける弁護士の秘匿特権の本質的な違い（質的相違）がわかっておらず、単に範囲と程度の問題（量的相違）にしか捉えられていませんでしたが、それは大きな間違いでした。また、弁護士の秘匿特権という言い方も正しくなく、正確には、依頼人に秘匿特権があるのであって、依頼人が秘匿特権を放棄しない限り、米国弁護士には守秘義務 があるのはアメリカでも同じです。</p>
<p>この問題がさらに複雑になるのは、英国以外のＥＵの諸国の法律はシビルロー（大陸法）であるといっても、コモンロー（英米法）の影響を受けつつあ ることです。現にフランス人は、privilege（秘匿特権）という言葉を使って自分たちの制度を説明することがあり、大陸法に英米法の考えが混在して きています。日本でも弁理士法を改正して弁理士の秘匿特権を明確にしようとする動きがあり、単純に大陸法と英米法で分けて議論できるものでもない のかもしれません。</p>
<p>以上は話の前提に過ぎません。秘匿特権のある国と秘匿特権のない国をまたいだ知財訴訟において、秘匿特権が認められていない国の弁護士／弁理士が 顧客に与えたリーガルアドバイスが、秘匿特権のある国における訴訟においてディスカバリーの対象となるおそれがあり、そのおそれがある限り、秘匿 特権のない国の弁護士／弁理士が安心して顧客にリーガルアドバイスを与えることができないという問題を解決しなければなりません。</p>
<p>解決策として、コモンローの国とシビルローの国の間で二国間条約を結んで問題を解決する案や、ケースバイケースで双方の国の法律を選んで適用する案、 両国の法律の違いは棚上げにして機能的（functional）アプローチで解決する（手段は違っても結果が同じになればよい）案などがありますが、結論を出すには時期尚早です。</p>
<p>またもう一つの問題は、秘匿特権を弁護士／弁理士に限定するのか、知的財産に関するアドバイスを与えることが期待されている専門家（エージェン ト）にまで拡大させるのかです。この点はものすごくもめています。これは、アメリカがパテントエージェントのような非弁護士に対しては秘匿特権を 認めていないのに対して、非弁護士に対しても秘匿特権を認める国がいくつかあるからです。これを認めると、日本でも、たとえば行政書士が知的財産 の業界に入ってくるかもしれないという懸念が出てきます。秘匿特権をめぐる外交交渉は、弁護士／弁理士の「既得権益」を守る闘いにもなってきま す。</p>
<p>最後に、日本の弁理士に秘匿特権があるかを考えたいと思います。</p>
<p>アメリカは日本の弁護士には秘匿特権を認めますが、パテントエージェントに秘匿特権を与えていない関係で、日本の弁理士に秘匿特権があるかどうか が問題とされてきました。</p>
<p>VLT事件地裁判決（2000）は日本の弁理士に秘匿特権を認めた判例として紹介されていますが、これは、アメリカの裁判所が日本の民事訴訟法の 改正の趣旨を多分に誤解したことにもとづいています。アメリカの裁判所は民事訴訟法２２０条を、アメリカのディスカバリーと秘匿特権の導入である と受け止めた節があります。前述のように、権利と義務が真逆になっている法体系の違いをアメリカの判事であっても理解できていないのです。</p>
<p>その後、Eisai事件地裁判決（2005）でも日本の弁理士に秘匿特権が認められていますが、これも改正後の民訴が秘匿特権を弁理士に与えてい る以上は、アメリカの裁判所も国際礼譲としてこれを尊重しなければならないと判断したものです。改正後の民訴が秘匿特権を与えたことを前提にして いますが、日本の民訴２２０条の文書提出拒否権は、アメリカのディスカバリーに対する広範で普遍的な秘匿特権と同じ性質のものではないはずです。 その前提が崩れてしまうと、日本の弁理士は秘匿特権を失います。ケースバイケースの判断になるおそれがあります。</p>
<p>いずれにしても、日本の弁理士に当然にアメリカのような秘匿特権があるという結論が出せるような状況ではありません。不確定要素が残っており、引き続き、外交交渉や二国間条約などによる根本的な解決が必要な領域であることに変わりはありません。</p>
<p>弁理士　青木武司</p>
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