カテゴリー別アーカイブ: ビジネス最前線

小保方晴子博士の「STAP細胞」特許出願は基本特許となるか?

Stem cell research「数世紀に及ぶ生物細胞学の歴史を愚弄するものである」ー2012年、英Natureが彼女の論文の掲載を却下したときの査読者の評だという。理化学研究所の小保方晴子博士の発見したSTAP細胞はそれほどに「非常識」に満ちている。受精卵から体細胞へ分化すると、細胞は分化状態をメモリのように記憶しており、多能性細胞などの未分化細胞に戻る(初期化する)ことはないというのがかつての常識であり、体細胞を初期化するには高度な遺伝子操作が必要であると考えられていた。小保方博士の発見は、体細胞に一定のストレス(弱酸性の刺激)を与えることで、分化状態の記憶が消去され、多能性を再び獲得するということのようである。

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「クルルンポイ」の損害賠償額の増額判決は外国企業に朗報

cloth nappies (diapers) on the line「におい・クルルンポイ」という商品をお使いでしょうか?赤ちゃんのおむつをくるるんっとフィルムに包んでポイっと捨てるものです。子どもが大きくなった私にはもう関係ないですが、おむつはトイレには流せないのでこれは助かりますよね。この製品、日本ではコンビ株式会社が販売していますが、製造元はSangenicというイギリスの会社であり、英国ではNappy Disposal Systemとして販売されています。 続きを読む

ibooksはインターネット電子書籍サービスの記述的商標でしかない

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Apple Inc.の商標iBooksの使用はJ. T. Colby & Company, Inc.らが使用する未登録商標「ibooks」に抵触するとしてApple Inc.が訴えられた商標権侵害事件は、米国ニューヨーク州南部連邦地裁の2013年5月8日の略式判決によりColby側が敗訴しています(J.T. Colby & Company, Inc. et al v. Apple, Inc.(S.D.N.Y. May 8, 2013))。しかし、これは電子書籍サービスにibooksという表記ができなくなることを意味しません。

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ブラックベリー身売りの前に見ておきたいイギリスのコメディ

Autumn Blackberriesカナダの通信機器メーカーのブラックベリー・リミテッド(旧リサーチ・イン・モーション・リミテッド)がカナダのフェアファックス・フィナンシャル・ホールディングズを中心とする企業連合に身売りすることが決まった。数年前までは米国人がブラックベリーをもっているのをよく見かけたが、今ではすっかりiPhoneに取って代わってしまった。いよいよブラックベリーが姿を消してしまう前に、ぜひ見納めしておきたいイギリスのコメディがある。 続きを読む

人をほっとさせるレモン飲料なのか、温かいレモン飲料なのか?

Calpis Hot Lemonカルピス株式会社の商標「ほっとレモン」の商標登録の取消決定を維持する判決が知財高裁から出されました(平成24年(行ケ)10352号(知財高裁平成25年08月28日判決))。カルピス社は商標「ほっとレモン」が「人をほっとさせるレモン飲料」というイメージとともに多くの需要者に周知されてきていると主張しましたが、裁判所は、商標「ほっとレモン」は、「温かいレモン飲料」であることを普通に表示する標章のみからなる商標に過ぎず、「ほっと」の文字部分が長く使用された結果、商品の出所識別機能を有するに至ったものではないとしました。 続きを読む

土屋アンナさん主演の舞台「誓い奇跡のシンガー」を巡る騒動

Anna_Tsuchiya土屋アンナさんが主演予定であった舞台「誓い奇跡のシンガー」が昨日突然公演中止となったことで話題になっています。この舞台作品は、身体障害と言語障害を抱える女性歌手・濱田朝美さんの「日本一ヘタな歌手」(光文社)という小説が原案となっているそうです。公演主催者側は、主役の土屋アンナさんが「公的にも私的にも何らの正当な理由なく無断で舞台稽古に参加せず(中略)専らそのことが原因で同公演を開催することができなくなりました」と公式サイトで発表し、「土屋アンナ氏に社会人としての責任をお取りいただくべく,損害賠償訴訟を含む断固たる措置を講じる所存です」としており、穏やかでない事態に進展しています。原作者の濱田朝美さんのブログによれば、土屋アンナさんが舞台稽古への参加を拒否した背景には原作者の著作権の許諾に絡む事情があったようです。

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Apple対SamsungのiPad共同体意匠権侵害訴訟ードイツとオランダ

iPad_Jobs2011年8月6日Apple Inc.(米国) は、Samsung Germany(ドイツ)とSamsung(韓国)がApple社の共同体意匠権181607-0001(iPadの意匠権)を侵害したとして、ドイツのデュッセルドルフ地裁に仮差止請求を求めた。本訴訟では共同体意匠裁判所としての国際管轄権の範囲がドイツ国内に限られるか、EU全域に及ぶかが大きな問題となった。共同体意匠権はEU全体で一つの意匠権であるが、被告の一部にEU域外の会社(本訴訟ではサムスン(親会社)はEU域外)である場合、ドイツ地裁の判決の効力がEU全体に及ぶとは限らない。 続きを読む

差止請求認容判決の強制履行の手段ー間接強制

Patent troll spread illustration特許権や商標権の侵害で差止請求を認容する判決が出た場合、その判決を強制履行する手続に移る。裁判所で差止請求が認容されたからといって、被告が直ちに債務履行するとは限らないので、強制執行が必要になる。強制履行の手段として、直接強制、代替執行、間接強制の3通りがある。 続きを読む

もしソニーがiPhoneを作ったとしたら…

CIMG2945If Sony were to make an iPhone, what would it be like?
「もしソニーがiPhoneを作ったとしたら、どんなものになるだろうか」
アップルとサムスンがしのぎを削った米国特許侵害訴訟。2012年8月24日、カリフォルニア州連邦地裁の陪審評決によって約10億5千万ドル(約825億円)の損害賠償額が認定された。この裁判では、米国の訴訟手続きにディスカバリー(証拠開示手続)と陪審制度がなければ決して知ることのできなかったアップル製品の開発秘話が明るみに出された。

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